経営幹部とは、組織のトップが経営方針の決定、経営計画の策定、組織運営などの経営や管理を行うことをいいます。
日本では、トップマネジメントを最高意思決定機関などといわれています。
経営幹部は、「トップの右腕として意思決定を支える存在」「組織の推進力を担う存在」「次世代の経営者候補として育成すべき存在」という3つの重要な役割を担っています。
そして、社長一人で経営を背負う時代は終わり、幹部層の強化が企業の存続と成長のカギになっていることから、経営幹部の重要性は、ますます高まっています。
本記事は、計画的かつ確実に経営幹部を育成するヒントをご紹介します。
なぜ今「経営幹部育成」が必要なのか
社長一人に依存する経営の限界
中小企業・中堅企業では、社長のリーダーシップと意思決定力が企業成長を牽引してきました。
しかし「社長一人に依存する経営」には大きな限界があります。
経営環境の変化が激しい中、すべての判断や業務を社長が担うと、意思決定が遅れ、組織全体のスピードが落ちてしまいます。
また、現場の課題や市場の動向がトップに集約され過ぎることで、適切な戦略実行が追いつかないリスクも高まります。
さらに、社長が病気や急な不在となれば、企業活動が停滞し、取引先や社員に不安が広がります。
人材不足や事業承継の課題を考えれば、経営幹部を計画的に育成し、経営の一端を担える体制を整えることが、今や企業の存続と成長に不可欠なのです。
複雑化する経営環境と幹部層の役割
現代の経営環境は、少子高齢化による市場縮小、デジタル化やAIの急速な進展、国際情勢の不安定化など、かつてないほど複雑化しています。
こうした変化に迅速かつ柔軟に対応するためには、社長一人の判断に頼るのではなく、経営幹部層が主体的に意思決定を支え、戦略を現場で実行に移すことが欠かせません。
幹部は経営方針を理解し、自部門に落とし込んで成果に結び付けるとともに、現場からの情報を集約して経営陣にフィードバックする重要な役割を担います。
また、新しい事業の企画や組織改革の推進役となり、未来の成長エンジンを生み出すことも期待されます。
経営環境が複雑化する今こそ、幹部層の力量が企業の競争力を大きく左右しているのです。
幹部不在が企業成長を止める
幹部人材が不在、あるいは十分に育っていない企業では、社長に過度な負担が集中し、組織の成長が頭打ちになりがちです。
経営戦略を描いても、それを現場に浸透させ推進する人材がいなければ、実行力が伴わず成果につながりません。
また、幹部が不在の状態では、若手社員にとってのロールモデルやキャリアの道筋も見えにくく、人材定着や育成の面でも大きな課題を抱えることになります。
さらに、経営トップが病気や急な交代を余儀なくされた場合、代わりに舵を取る人材がいなければ、企業そのものが存続の危機に陥ります。
成長を続けるためには、幹部層を計画的に育成し、経営を担う人材を継続的に生み出す体制が不可欠なのです。
効果的な経営幹部育成研修とは・・・
その企業に特化した計画的育成プログラム
経営幹部育成研修は、各企業の特性に合わせた計画的な育成プログラムとして設計します。
まず、目的は、企業規模や組織構造、経営課題を踏まえ、社長の右腕として即戦力となる人材を段階的に育てることとします。
そして、単発の研修ではなく、1年~3年程度にわたる体系的なカリキュラムを通じて、戦略思考やリーダーシップ、組織マネジメント力を実践的に習得します。
さらに、定期的なフォローアップや振り返りを行うことで、研修で得た知識やスキルを確実に業務に定着させます。
これにより、幹部候補が計画的に成長し、社内から確実に経営幹部を輩出できる仕組みを提供しています。
各企業において、次世代のリーダーを戦略的に育成するための実践的プログラムです。
実践重視の新規事業立案・プレゼンを通じた成長
経営幹部育成研修は、単なる座学にとどまらず、実践を通じた学びを重視します。
参加者は、自社の課題を踏まえた新規事業立案や改善プロジェクトに取り組み、実際の業務に直結するケーススタディなどを扱うことが重要です。
ケーススタディは、マーケティング活動を通じた新規事業の検討、事業計画策定まで行うことで、事業立案、事業推進力を習得することで、事業部、会社全体の事業推進ができるようになっていきます。
さらに、その成果を社長や経営陣の前でプレゼンテーションすることで、論理的思考力・説得力・意思決定力を実践的に鍛えることが可能になります。
これにより、幹部候補は机上の知識ではなく、現場で成果を出せるスキルを習得できます。
また、プレゼンや議論を通じて組織全体への影響力も養われ、社長の右腕として即戦力化するだけでなく、組織を牽引するリーダーとしての自覚と行動力を身につけることができます。
2~3年程度の体系的研修+フォローアップ体制
経営幹部育成研修は、2年~3年程度という長期にわたる体系的カリキュラムを採用することが、より効果を高めます。
計画的に幹部候補を育成するには、研修は単発ではなく、月1回の集合研修に加え、実務に即した課題や演習を段階的に積み重ねる設計にすることが大切です。
課題は、研修の際に洗い出した個人別課題を、次回の研修までに取り組んだ結果を検証するというPDCAを繰り返し続けることで、実践面で経営幹部としての自覚、思考、行動が伴ってきます。
さらに、研修後には定期的なフォローアップ面談や進捗確認を行い、学んだ内容が実務で確実に活用されるようサポートします。
この仕組みにより、参加者は理論だけでなく実践的スキルを定着させ、組織内での影響力を高めながら、社長の右腕として即戦力化します。
また、幹部育成の成果は単なる個人の成長にとどまらず、部門間の連携強化や組織全体の活性化にもつながります。
中小・中堅企業において、計画的かつ継続的に経営幹部を生み出すことができるのは、この長期・体系的・フォローアップ型の研修プログラムならではの特徴です。
企業の持続的成長を支える幹部育成の実現に直結しています。
成果と導入効果
成功事例|経営幹部候補から執行役員へ
ある運輸・倉庫業の中堅企業では、将来の経営幹部を育成する仕組みが不足しており、現管理職から次世代リーダーを輩出できるか不安を抱えていました。
この課題に対し、当社が計画的な経営幹部育成プログラムを提案し、実行しました。
プログラムは、執行役員とNMR流通総研で目指すべき経営幹部像を共有し、対象者として管理職研修に参加している中から将来性のある精鋭メンバーを選定しました。
研修は全24回、月1回の終日研修を実施し、研修終了後には半年後および1年後にフォロー研修を行いました。
研修内容は、自分の強みの再確認や人間力の向上、経営理念の理解、企業の革新事例の学習、新規事業創造のワークショップなど多岐にわたり、最終的には事業計画を社長にプレゼンテーションする形式で締めくくりました。
このプログラムを通じて、参加者は経営視点を養い、新たなビジネスへの挑戦に必要なスキルを習得しました。
研修終了後、数名の参加者が執行役員に昇進し、企業の経営層として活躍しています。
また、研修を受けた管理職は、組織全体の活性化や部門間の連携強化に貢献し、企業の持続的成長を支える重要な役割を果たしています。
この成功事例は、計画的な経営幹部育成が中小・中堅企業においても実現可能であり、組織の活性化と成長に直結することを示しています。
組織全体の活性化と次世代リーダーの育成
経営幹部育成研修は、個々の幹部候補の成長だけでなく、組織全体の活性化にも直結します。
幹部候補が戦略的思考やリーダーシップを身につけることで、部門間の連携がスムーズになり、意思決定や業務推進のスピードが向上します。
また、幹部自身が部下の模範となることで、社員の行動や意識にも好循環が生まれ、組織文化の強化につながります。
さらに、研修で得た知識や経験は、次世代のリーダー育成にも活用されます。
具体的には、幹部候補が後進の育成に関わることで、経営方針や組織の価値観が継承され、社内に持続的に幹部人材を輩出する仕組みが形成されます。
このように、計画的な幹部育成は、個人の能力向上にとどまらず、組織全体の活性化と次世代リーダーの育成を同時に実現し、企業の持続的な成長を支える基盤となるのです。
企業の持続的成長を支える経営人材の再現性ある育成
経営幹部の育成は、一度きりや一部の人材に限られた成果では企業の持続的成長にはつながりません。
重要なのは、再現性のある仕組みとして幹部人材を育て続けることです。
対象者の選定からカリキュラム設計、教育活動の実施、フォローアップまで一貫したプログラムを提供することで、誰もが計画的に成長できる環境を整えることができます。
体系的な研修を通じて、幹部候補は戦略思考・リーダーシップ・組織運営力を確実に身につけ、実務での成果に直結させることが可能です。
また、研修で得たノウハウや手法は、次世代の幹部育成にも活用できるため、企業内で継続的に経営人材を輩出する体制が構築されます。
このように、再現性ある育成プログラムは、個々の成長だけでなく組織全体の強化につながり、企業の長期的な競争力と持続的な成長を支える基盤となるのです。
まとめ
企業において、経営幹部の存在は社長の右腕として組織を支え、戦略を実行に移す重要な役割を担います。
しかし、多くの企業では幹部人材が不足しており、社長一人に経営を依存する体制では成長の停滞やリスクが高まります。
経営幹部育成は、企業の特性に合わせた計画的な経営幹部育成プログラムにすることが重要で、2~3年にわたる体系的研修と実践的ワーク、定期的なフォローアップにより、幹部候補は戦略思考・リーダーシップ・組織運営力を確実に身につけ、即戦力として活躍できる力を養っていきます。
経営幹部育成研修の成果は個人の成長にとどまらず、組織全体の活性化や部門間連携の強化、次世代リーダーの育成にもつながります。
当社が支援した企業では、研修参加者が執行役員に昇進し、企業の持続的成長を支える経営人材として活躍しています。
計画的かつ再現性のある育成体制により、企業は安定して幹部を輩出し続けることが可能です。
経営幹部育成に関するご相談は、経験豊富なコンサルタントが承りますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
サービス紹介
株式会社NMR流通総研は中小企業を支える大阪府新大阪駅の経営コンサルティング会社です。伴走型支援で現場に入り込み、マーケットコンサルや人事制度・社員教育の仕組み作り・研修を通じて高い成果を生み出します。
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この記事を書いた人
大阪府の中小企業向け伴走型支援経営コンサルティング・株式会社NMR流通総研代表取締役 中坊 崇嗣

経歴
大学卒業後、大手流通企業に入社。商品仕入・販売管理、店舗運営の実務キャリアを形成するとともに、売場管理者としての小売現場のマネジメントキャリアを有します。
株式会社NMR流通総研入社後、商業ディベロッパー会社に出向し、テナント運営管理の仕組みを構築後、経営コンサルティング業務をメインとして、マーケティング、組織活性化コンサルティングを通じて企業活性化支援を総合的に展開している。また、行動心理士として、組織力強化を得意にしています。
メッセージ
私たちが他のコンサルティング会社と違うところは、(頭で考えて)プロジェクトプランや改善プランを設計して、その後はお任せではなく、私たちも実行段階まで踏み込んで、(身体も動かして)クライアントと一緒に新規事業の立ち上げや経営改善、組織活性、人材育成を推進することです。クライアントの目指す目標や抱える問題に共感・共有して、一緒に悩み、考え、実行、検証を進めブラッシュアップを図ります。私たちは、クライアントのパートナーとして一緒に歩み、そして一緒に成長して、生産性の向上や経営改善など、クライアントが実現を目指す目標を必ず達成しています。
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